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に、地元に就職口がありながら、3Kといわれて敬遠されがちなリゾートでの地元の若者の吸収に期待される。
(4)責本別従業員の県内比率
表2−2は、ホテルの経営主体または出資母体が本土系か地元系かで分けた場合の雇用状況である。

 

表2−2 本土系、地元系別従業員の県内比率

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(名桜大学小濱観光学研究室)

 

全体的に、本土系の宿泊施設では地元系に比べ県内出身比率が低くなっているが、常雇従業員、臨時従業員(契約社員等)の比率は想像以上に大きい結果となった。管理職者の県内出身者比率は、地元系ホテルでも84.3%であり、本士の会社のノウハウを取り入れて、経営の近代化、合理化、効率化を進めているようすがうかがえる。本土系ホテルでの管理職者の比率は5割強であり、出向や転勤の形で入ってきている。これは、会社組織の形態上、ある程度はやむを得ないことである。これらの企業では、地元出身者を故意に管理職に登用しないわけではなく、会社としてチェーン展開やフランチャイズを行っている企業が多いので、地元出身者であっても、社内で育ち、管理能力のある人間は他地域に転勤する場合もある。またそれを期待して就職する人材も多いので、この値が低いことを、そのまま問題とするわけにはいかない。
地域経済効果の効率的波及から考えると、臨時従業員や季節雇用を含めて、すべての雇用者が地元出身であることが期待されるが、現実的には不可能である。沖縄県は失業率が高いといっても、実際には人材不足であり、特にリゾート関連では深刻な状況である。
県外出身者であっても、県内に住んで生活していれば、消費活動は地域内で行われ納税も行うのであり、特殊なケースを除いては、賃金給与をそっくり他県に送付することはあり得ない。したがって、経済効果の上からは、従業員の県内出身比率はそれほど問題ではないといえる。
各社とも地元での人材確保と社内での人材育成に努力している現状であり、常雇従業員や管理職者における県内出身者比率は増加することが期待されるが、これを単に企業努力と見なさずに、地域住民が観光やリゾートを職業として理解し、人材育成に協力していく姿勢も重要なことである。これは高等教育や専門学校での教育など、学校教育を中心に行われるが、就職に際しての親の指導など、家庭内の理解も重要である。現在はリゾート化の過渡期であるため、リゾート導入以前の生活価値観あるいは職業価値観を、新しい世代に押しつけるのではなく、観光やリゾートに対する正確な理解を基に、長期的な展望に立って、地域が産業として育てるスタンスが求められる。

 

(5)常雇従業員の県内比率
常雇従業員について県内比率が80%を越えている14社について示したのが表2−3である。この中には本土系企業が9社と地元系企業5社がはいっている。先にも分析したように、資本の分類で県内採用比率の高さはいえない。この結果からは本土系、地元系での採用比率に差はみられない。

 

 

 

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